バスジャック
|
バスジャック 著者:三崎 亜記 |
第17回小説すばる新人賞(2005年)受賞作、「となり町戦争」後の短編集。
良くも悪くも、作者独特の世界観があり、その世界を形作る社会が現実の社会とはちょっと違っていて、そこを楽しむ作品が多い。
だけど、ちょっと稚拙で説明不足だったり、ひとりよがりなところもあったりして、そういうところは、甘いなあ、と思ったりもするし、どこかで聞いたことのあるような物語りもあったり、波が激しいような印象を受けた。
「バスジャック」
バスジャックを擁護しているという社会の中での物語り。
とあるバスの中でのバスジャックの様子が描かれている。
そういう意外性は面白かったけど、オチはなんだか予想可能なレベルだったので、まあまあ。
「動物園」
特殊な能力を持った人間が、その姿かたちをその能力によって動物に見えるように変化させることができる、という設定で、それがビジネスとして存在する不思議な世界。
女性の主人公が、とある動物園である鳥として勤務した数日間の話。
なんだか体系的なややこしい概念がいろいろでてきてちんぷんかんぷんなところがあった。
こういうところが、作者のひとりよがりっぽいところだと思う。
次に発表された、「失われた町」を思い起こすような雰囲気だった。
「送りの夏」
一番好きだと思った物語。
失った大切な人を形作った人形と暮らす人々の話。
ありきたりの感がぬぐえなかったけれど、あまり説明のない
その物語の中で、人と人との信頼関係が素直に描かれていて、
切なかった。


最近のコメント