書籍・雑誌

庭の桜、隣の犬

庭の桜、隣の犬 Book 庭の桜、隣の犬

著者:角田 光代
販売元:講談社
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35歳の房子と旦那の宗二のからっぽの夫婦の話。

房子はしょっちゅう実家に戻ってゴハンをもらっているような日々。忙しい宗二はなかなか家に帰れないことをきっかけにアパートを借りることに。

なんだか夫婦なのに、そこには愛情が見えなくて、二人はどこに行ってもゼロなんだよね、って言い合っているのがとってもむなしく、さみしい。

その周りの房子両親、宗二母や、宗二の浮気相手(!?)の若い女を通して、二人の関係が変わっていくのかと思いきや、なんだか最後になっても、飄々とした二人の関係は進展するでもなく、相変わらずの無関心に近い関係。

二人とも二人でいることによって何か変わるわけではなく、個人と個人がただ一緒にいるだけだから、何も変われないし生み出せないのだと思う。

人は人を好きになると、どうしようもない感情の高ぶりとかがあって、そんな自分に驚いたり自己嫌悪に陥ったりするんだけど、そういうのが見えないのだ。

「ビジョンがある」ことが重要だという宗二の言葉や、型にはまって「愛人との一戦」を演じる自分に期待してしまう房子の様子は滑稽だけど、役割や型にはまらないと生きていけない都会の現代人をある意味表しているような気がした。

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かげろう

かげろう Book かげろう

著者:藤堂 志津子
販売元:文藝春秋
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40歳前後の女性の物語が三篇。

どれにもあまり共通しているテーマはなくて、人生を振り返って周りの人間との関係を綴っている話だったんだけど、藤堂志津子らしく、しっかり読ませて、客観的に人間というものを見つめられる物語だった。

でもちょっと物足りなかったような・・・

「かげろう」

20以上年上の夫と結婚し、先立たれた後に、その夫の弟子のような夫婦を気に入って養子にするけれど・・・

「あらくれ」

母親の思い通りに生きられなかった主人公は、辺鄙な田舎で食堂を経営し、そこで女性二人を雇いながら養っている。

「みちゆき」

本当は愛していないのに愛人のような関係を結んでいた相手とやっと別れることができてほっとしている主人公。その男の新しい相手は昔の同級生。そしてその同級生から語られる二人の関係を聞いて・・・。

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チョコリエッタ

チョコリエッタ Book チョコリエッタ

著者:大島 真寿美
販売元:角川書店
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「チヨコ」は高校生。

小さいときに、父親の運転する車で母親を亡くし、それ以来仕事ばかりでろくに家にいない父と、その妹のきわこちゃんと一緒に暮らしている。

なんだかココロの中に埋められない傷を抱えているチヨコは、進路指導で犬になりたいと書いてしまう。

愛犬を失った直後だというせいもあるけど、未来に希望も持てないし、何かなげやりな毎日。

そん中、映画部のOBの先輩と再会し、将来について「後を継ぎ医者になれ」というプレッシャーを抱え、うまく生きられないその先輩と過ごすことで、何かを得て、ふっきれていくちよこ。

悪くない前向きな話だけど、私には映画の話はよくわからなかったし、最後があっけなくて、はっきりしないまま(つまり、きわこちゃんや父との関係が実際に見えないまま)終わってしまったので、ちょっと消化不良だった。

あっさりと柔らかい物語。

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がらくた

がらくた Book がらくた

著者:江國 香織
販売元:新潮社
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柊子(45歳)と、海外で出会った少女、美海の二人を中心とした物語。

柊子と夫の関係は独特で、愛し合っているけれど、夫は恋人を持つことを常としていて、その愛人と3人で普通に飲みに行ったりもする。

柊子は夫にベタぼれで、夫の愛人の存在によって逆に自分と夫との愛の深さを確かめて安心したりしている。「赤い長靴」で江國香織が描いていた、「夫と離れている時ほど夫の存在を感じて誇らしくなる」気持ちと似ていると思った。

夫も平気でいろんな女性に手を出して、それを悪びれる風でもなく、逆にそれによって君への愛情が証明されるんだよ、とでも言いたげな余裕をかましている。

こんな微妙な関係、都会の裕福な人たちだからこそ成り立つ関係だとも思った。

人がそれぞれで自立しているから、個性という名前(!?)の元で、人の愛し方のオリジナリティも自分の中のパーソナリティとして含んで、堂々と生きていられるんだ。

理解はできないけれど、小説としては面白い。

美海だって、親が離婚して帰国子女だからちょっと変わっているなんてだけれは済まされない、個性的な少女だ。

ちょっと普通に恋をしているところもあるように思ったけれど、柊子に父と会う(=寝る)よう仕向けたり、結局最後には柊子の夫に処女をささげ、その上で「柊子さんと今度会うのが楽しみ」なんて言ってのける。

そうやってヒミツのようなうそ臭い顔をして、しらばっくれて重ねる人間関係って、私も経験したことはあるけれど、もし世の中がそういうものばかりになってしまったら、安心して生きていくことができなくなってしまうんではないかと思ってしまう。

したり顔の下にどんな想いを隠しているのか。

・・・でも、最近読んだ江國香織の小説の中ではすごく新鮮でとても面白かった。

(最近は入り組んでいて、でも落ちきらない、納得いかない小説が多いような気がしていたから)

すごく経済的に裕福な感じの人たちがたくさん出てくるんだよね、都会的な感じで。

こういうのを読んで面白い、とか共感できるのは、やっぱり私が東京で少し暮らしたことがあるというのも大きいような気がする。

ずっと田舎に住んでいたら、その閉鎖的な、他人行儀な空気を想像するのは難しすぎると思うから。

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トリップ

トリップ Book トリップ

著者:角田 光代
販売元:光文社
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ひとつの町を舞台に、少しずつ登場人物をだぶらせながら続く短編集。

あんまり気持ちいい終わり方ばかりではないけれど、角田光代の短編集の中では、読みやすかったように思う。

(わたしてきに)

人間が生きていく中で、それぞれの人生って、後悔したりすることも多いけど、やり直そうと思ってもできないんだよね、やっぱり。

でもそれをいろいろ思い返したりしていく中で、納得して生きていることに気づいたり、意外と自分が今の生活を気に入っていたりして、なんだかうまくおさまってその後も生きていくことになるんだろうと思う。

悔しくても、生きる力を充電して、また人は生きていかなくちゃいけないのよ。

しんどいけどね。

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ベイビーシャワー

ベイビーシャワー Book ベイビーシャワー

著者:山田 あかね
販売元:小学館
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40歳を向かえシングル(どちらも不倫中)の美園と今日子のふたり。

美園が相手は別として、子供が欲しいと言い出したことに関わるすったもんだの物語。

ちょっと話の時系列がわかりにくくて、せりふも誰が言っているのかわかりにくいところがあって残念。

はじめに、生まれた子供のことから始まっているんだけど、物語は結局、その子が生まれるまでの経緯で終わってしまったので、なんだかもっと生まれる時期の周辺の話が読めると思っていた私は最後拍子抜けした。

でも、作者はテレビ関係の仕事をしているというだけあって、結構リアルで(今日子はドキュメンタリーを撮ったりしているカメラマンという設定)そういうところは興味深く読めた。

ちょっと読みにくかったのは、やっぱり本場の作家さんじゃなかったからかな。

もう少し手直しして本にしてくれてたらな~。

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ホテル・アイリス

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫) Book ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)

著者:小川 洋子
販売元:幻冬舎
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ホテル・アイリスの一人娘「マリ」は、まるでグリム童話に出てくるような母(実母)にこきつかわれ、高校まで辞めて家業を手伝いその世界に閉じ込められている。

そんな日々が、ロシア翻訳家の老人との逢瀬によって歪んでいき、倒錯的な世界に踏み込んで戻れなくなっていく。

小川洋子の残酷な世界が広がっていてドキドキした。

老人によって、性に目覚め、虐げられることに快感を覚え、離れられなくなっていくマリ。

離れ島にある翻訳家の家で行われる秘密の行為がエスカレートしていくにしたがって、このまま破滅してしまうのが目に見えて怖くなってきた。

そして、翻訳家の血の繋がらない甥が、舌がなくしゃべることができない、という設定もなんとなく残酷で、常に何かダークな匂いを感じさせて目が離せなかった。

最後に翻訳家があっけなく死んでしまい、マリは「誘拐されていたずらされたかわいそうな少女」という形でおさまってしまったのがすごく意外で、あそこまで乱れた秘め事が本当に夢だったようになってしまったところにまた残酷さと物語のおもしろさを感じた。

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東京バンドワゴン

東京バンドワゴン Book 東京バンドワゴン

著者:小路 幸也
販売元:集英社
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古本屋「東京バンドワゴン」を営む一家の悲喜こもごもを描いた長編書き下ろし。

個性的な面々、愛人やらシングルマザーやらいろんな事情があるけれど、それぞれが素直にまっすぐに生きていて、ほほえましい家族と下町独特の笑いと人情が描かれている。

昭和30年代のホームドラマを見ている感じ。

話も、ちょっとうまくできすぎている感じがするけれど、それがまた味となって、読後感がすっきりして楽しかった。

続きが読みたいな~というほのぼのした一冊だった。

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若くない日々

若くない日々 Book 若くない日々

著者:藤堂 志津子
販売元:幻冬舎
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50代を迎えた独身女性の日々を書く短編集。

さすが藤堂志津子だな、と思った。

ひとつひとつの物語について、現代の働くシングル女性の思慮深さやずるさ、哀しみとかを自虐的にかきつつ、いやみじゃない所でまとまっていて、そのくせリアルだ。

しっかりオチもついていて、読んでいて、すっきりする物語ばかりだった。

30手前の私には、50歳のシングル女性というのは想像もつかないけれど、自分もこうなる可能性もあるんだなと思いつつ、堪能した。

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猛スピードで母は

猛スピードで母は Book 猛スピードで母は

著者:長嶋 有
販売元:文藝春秋
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「サイドカーに犬」

映画化。

主人公の薫が小学生の時に出会った父の愛人との不思議な関係が綴られていた。

母親が家出した時に家事をするような形で家に来るようになった「ようこさん」。

破天荒な父親は母がいない間に友人を家に招きいれたり、その食事の世話をようこさんにさせたり。

でも薫はそんな変な日常を受け入れて、ようこさんと友達のような妙な親しみを持っていく。

結局母親が戻ってきて修羅場のあと、父親は罪をおかして(泥棒)、離婚。

その不思議な生活を思い出したような物語になっている。

なんだか変な話だと思いつつ、目が離せなかった。

「猛スピードで母は」

第126回芥川賞受賞作。

小学6年生の慎と母の2人暮らしの物語。

ほんの少し変わり者の母と暮らす慎の目から見る日常。

再婚話が出たけれど結局だめになってしまったり、

母の実家に顔を出した時の話があったり、

北海道のM市に暮らすちょっとした日常が綴られているんだけど、

悪くないなーという感じ。

何かものすごく大きな出来事があるわけではないし、

大きな感情の起伏があるわけでもないけれど、

淡々と過ぎる毎日の中で、親子の交わりというか関わりがほどよい距離で書かれていて、

楽しかった。

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パーク・ライフ

パーク・ライフ Book パーク・ライフ

著者:吉田 修一
販売元:文藝春秋
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パーク・ライフ

第127回芥川賞受賞作。

ある日地下鉄で出会った女性と、日比谷公園で交わす会話を中心に、

淡々と会社員の主人公の毎日が綴られる。

なんだか、退屈な物語だった。

多くを語らないすっきりした風のような文章はセンスを感じさせて気持ちよかったけれど、「読み応え」というものが感じられなかったから、読後も残るものがなかった。

残念。

Flower

???

主人公が東京で勤めはじめた先で出会った「元旦」という人間、田舎の福岡での花を生ける話、など。

乱交とか書かれて、ひいた。

よくわからない話。

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再婚生活

再婚生活 Book 再婚生活

著者:山本 文緒
販売元:角川書店
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「プラナリア」で直木賞を受賞した山本文緒。

その後、新しい作品がたくさん出てくると思っていたのに一向にその気配がない。

おっかしーなーと思っていたら、案の定、うつ病でなかなか執筆活動が進まなかったらしい。

そのことを新聞で読んでから、そのうつ病生活を綴った連載が一冊の本になったと聞いてすごく読みたかったのだ。

いつの間にか再婚をして、うつ病と戦って、そして、やっとかなり回復してきたらしい山本文緒の作品を久しぶりに読むことができた。

文章は決して後ろ向きではないけれど、やっぱり、うつ病の人が書いているものというのは、(というか、薬が必要だったり、落ちている様子を聞くのは)ちょっとしんどい部分がある。

私も読みながら正直ちょっとよどんだ気持ちになった。

苦しいんだろうな~、大丈夫かな~と思いながら読み進めていった。

でも、連載を中断した後、かなり回復した後の部分の文章を読むと、確かにこちらに伝わってくる空気のようなものがよくなっているし、読んでいても、あまりしんどくないのだ。

良くなった後は、文章も心なしか落ち着いているし、食事を落ち着いてとることができている様子にも、筆者の回復度合いが伝わってきて喜ばしい。

そして、全編に渡って、再婚相手の「王子」の優しさがあふれていて、素敵な人と結婚したんだなあ、と羨ましくもあり、本当によかったね、と言ってあげたい気持ちにもなり・・・。

山本文緒は、なんだかんだ言って、とっても幸せ者だと思う。

生活に困らないどころか、治療したり療養したりするだけの蓄えもあるし、素敵な旦那やスタッフにも恵まれているし。

うつ病から立ち直るのは簡単ではないと思うけれど、これからの作品に期待したいと強く思った。

このエッセイの全体から漂う、やさしい雰囲気がとても好きだ。

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バスジャック

バスジャック Book バスジャック

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
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第17回小説すばる新人賞(2005年)受賞作、「となり町戦争」後の短編集。

良くも悪くも、作者独特の世界観があり、その世界を形作る社会が現実の社会とはちょっと違っていて、そこを楽しむ作品が多い。

だけど、ちょっと稚拙で説明不足だったり、ひとりよがりなところもあったりして、そういうところは、甘いなあ、と思ったりもするし、どこかで聞いたことのあるような物語りもあったり、波が激しいような印象を受けた。

「バスジャック」

バスジャックを擁護しているという社会の中での物語り。

とあるバスの中でのバスジャックの様子が描かれている。

そういう意外性は面白かったけど、オチはなんだか予想可能なレベルだったので、まあまあ。

「動物園」

特殊な能力を持った人間が、その姿かたちをその能力によって動物に見えるように変化させることができる、という設定で、それがビジネスとして存在する不思議な世界。

女性の主人公が、とある動物園である鳥として勤務した数日間の話。

なんだか体系的なややこしい概念がいろいろでてきてちんぷんかんぷんなところがあった。

こういうところが、作者のひとりよがりっぽいところだと思う。

次に発表された、失われた町を思い起こすような雰囲気だった。

「送りの夏」

一番好きだと思った物語。

失った大切な人を形作った人形と暮らす人々の話。

ありきたりの感がぬぐえなかったけれど、あまり説明のない

その物語の中で、人と人との信頼関係が素直に描かれていて、

切なかった。

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ローズ・ガーデン

ローズガーデン (講談社文庫) Book ローズガーデン (講談社文庫)

著者:桐野 夏生
販売元:講談社
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何気なく手にとって読んだので知らなかったけれど、

これは「ミロ」という女性の主人公のシリーズだったみたい。

特に、表題作の1番目の物語が、番外編のようなもので、

ミロの高校生時代の恋人が主人公の話だったので、

混乱してしまった。

ちょっと選書ミス。

シリーズものだというのを理解したうえで、違う本から読めばよかった。

いまいち楽しめなくて、もったいない気がした。

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ハヅキさんのこと

ハヅキさんのこと Book ハヅキさんのこと

著者:川上 弘美
販売元:講談社
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かなり短い物語がたくさん入った本。

あとがきにあったけれど、著者のちょっとエッセイっぽい色が出ていて、

全体的に統一感はないんだけど、いろんな女性が主人公で出てきて、

ちょっとした日常生活や、恋愛や、夫婦のこととかが描かれている。

するすると読みやすいし、特に不思議すぎる話もなくて読みやすかったけれど、

短編集と考えると、「ざらざら」の方が好きかな。

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大きな熊が来る前に、おやすみ。

大きな熊が来る前に、おやすみ。 Book 大きな熊が来る前に、おやすみ。

著者:島本 理生
販売元:新潮社
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①大きな熊が来る前に、おやすみ。

②クロコダイルの午睡

③猫と君のとなり

の三篇。

①大きな熊が来る前に、おやすみ。

保育士の珠実は徹平と同棲中。

ずっと一緒にいて、結婚もなんとなく見えているけれど、珠実の中では徹平と暮らすことは、決して心安らぐこととは限らない。

昔父親に受けた暴力とかが珠実の心の中に、癒されない傷として残っていて、その傷は、徹平による一度きりの暴力のせいでぷすぷすとくすぶっていて、不安がぬぐえないのだ。

それは徹平自身が家族の中であった出来事の中での傷が関係しているのだけど・・・。

珠実の妊娠がわかっても、ふたりで喜ぶという雰囲気にはならず、未来への希望が見えることもなく・・・。

「不安」が漂う物語が、島本理生の作品の特徴だと思う。

特に家族の中での体験などから生まれた成長の家庭の中での悶々とした不安感、変えようのない過去からの産物である哀しみが、主人公の性格に影を落としていることが多い。

悪く言えば、暗いんだけど、その暗さ自体はそんなに苦痛なのではなくて、味わうのにほどよい、知りたい、と思えるほどの暗さ、人間の小さな闇のようなものだと思う。

ふとした時に姿を現す、普段は見逃してしまいそうな影と共存しながら人は生きている。

その心の動きが読者の私を捉える。

珠実と徹平は、この先、子供をもうけても、なんだか幸せになれる、というような気がしないのだ。

それは珠実自身も切々と感じていること。

だけど、その未来からわざわざ逃れようとするだけの勇気も、そんな不幸を断ち切って大きな希望を見出すだけのパワーもないまま、ただずるずると、起きるであろう哀しい出来事を許容することでしか生きていくことができないのではないか、と思わせた。

哀しい物語、なのかも。

②クロコダイルの午睡

ただ普通の大学生の主人公の話かと思ってたら、違った。

悪気はないけれど、その恵まれた家庭環境と、鈍い性格で主人公を傷つける都築と、少しずつ関係が近くなっていく中、期待したり、心をかき乱される主人公。

自分の恵まれない生い立ちをコンプレックスとして気にして努力してなんとかしてきたのに、いとも簡単にそれを打ち砕いたり傷つけてしまう都築を、最後事故に見せかけて死なせてしまってもいいというところまでいってしまう行動に、驚いたり、共感したり。

それに対する淡々とした都築の言葉も印象的だった。

いつかそうなるかもしれないって自分でもわかっていて、それでも自分の育ちとか鈍さのせいとかわかってるって。

・・・言葉が出なかった。

③猫と君のとなり

また過去に傷を持った主人公(昔の恋人にストーキングされる)が新しい恋をつかむ話。

暗すぎもせず、淡々と、でも少しだけ優しい未来を感じさせるかわいい物語だった。

(それでも島本理生らしく、ちょっと暗い)

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シュガータイム

Book シュガータイム

著者:小川 洋子
販売元:中央公論社
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かおるは大学4年生。

ひょんなことから「食べること」が止まらなくなる。

とはいっても、「過食症」という雰囲気ではなく、とにかく淡々と止まらない。

親友の真由子、血の繋がらない弟の航平、恋人の吉田さんという主な登場人物とのかかわりを描きながら、かおるの生活も淡々と綴られていく。

肉体関係のない吉田さんとの、一緒に眠るだけの夜は、普通なら若い恋人同士の二人にはありえない関係のように思えるけれど、恋の情熱より安らぎを求めるかおるには決して不満があるわけではなく、むしろ満たされる大切なひと時だ。

だけど、そんなプラトニックな関係に影を落とした、吉田さんの事故。

バイクの後ろに乗っていた女性と、吉田さんの特別な関係に、かおるは哀しい予感を感じていく。

全体に、優しい風が吹いているような物語。

かおるは、不安を感じつつも、決して乱されたりはしないのだ。

小川洋子の作品に通じる、何をもってしても乱されない空気のようなものが、この物語にも存在していて、返ってそれが物悲しさを強調している気がして仕方ない。

食べ続けたものを記した日記帳の紙くずを開放できた時に、かおるの中でも何かが解き放たれたに違いない。

この普遍な調子が、小川洋子の魅力なのかもしれないな。

最近読んだものの中には残酷な物語もあったけれど、私はこの物語の全編に渡る空気はものすごく好きだ。

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家日和

家日和 Book 家日和

著者:奥田 英朗
販売元:集英社
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「家」をテーマにした短編集。

おもしろかった。

男性作家の乾いたサラリーマンの話ばっかりとかではなく、あったかい話アリ、なんだか自然体でするするやっていたら展開していきました、というような素直なすっきりするような話が多かったように思う。

「家においでよ」

別居を機に、自分の好きなように部屋を作っていく主人公。

昔好きだった映画や音楽を見られるようにいろいろ家具を選び好きなようにやっている姿は、普通別居という結婚の危機に差し掛かった状態とは思えない。

同僚(男)も気に入り、いりびたるようになる中、最後に別居中の妻もやってきて、意外といい関係になって・・・というようなあっさりした話なのだが、そこがミソで、読後感が良かった。

「妻と玄米ご飯」

ロハス、マクロビオティック、にはまる妻と、主人公である、小説家の夫の話。

地球に優しい、といえば一見素晴らしいことに思えるけれど、それって、ただの自己満足じゃないの!?という毒がおもしろく、私もちょっと耳が痛かった。

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魔女の笑窪

魔女の笑窪 Book 魔女の笑窪

著者:大沢 在昌
販売元:文藝春秋
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ハードボイルド、というか、裏の世界の話で、ちょっと日常的な話とはかけ離れていた。

主人公は、「島」で、売春をしながら生きていかなければならない過酷な運命を背負っていて、そこから逃げ出された稀有の女、という設定で、現代社会の中の裏世界に通じていて、殺人とか大金のやりとりが絡む物語が何篇か収録されている。

あまりにも特異な世界だったし、こういうジャンルはあまり読まないので、それなりに興味深かったけれど、そんなに好きではないかな。

最後は、集大成のようにいろんなことが起きるんだけど、あっけなくて、むなしさも感じた。

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おやすみ、こわい夢を見ないように

おやすみ、こわい夢を見ないように Book おやすみ、こわい夢を見ないように

著者:角田 光代
販売元:新潮社
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角田光代は、女性の心理を書くのがうまいと思う。

特に、女性二人の行き方を対比させた物語(長編)が私は好きだ。

一方、短編に関しては、うまく最後に落ちないことが多くて、私はすっきりしないことが多い。

この短編集に関しても、とっかかりとか、主人公の取り巻く環境とか、ちょっとした考え型とかはすごくおもしろくて夢中になるんだけど、どうも最後がすっきりしない。

そして、なんだか似たような物語があって、それもちょっと萎えた。

主人公のひっかかっているところが、同じような感じなのだ。

角田光代は結構精力的に作品を発表している気がするので、やっぱりちゃんと選んで読んだほうがいいかも。

これから長編を選んで読もうっと。

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好き、だからこそ

好き、だからこそ Book 好き、だからこそ

著者:小手鞠 るい
販売元:新潮社
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「風子」と「ゴンちゃん」の恋愛を軸にした物語集。

ラブストーリーなので、くさいのは少し覚悟していたので違和感というほどはなかったけれど、やっぱりちょっと美化しすぎているところがこそばゆかった。

(でも、この作者の文章力なのか、面白いことは面白くて、結構夢中になって読めた)

だけど、「ゴンちゃん」は女の敵のタイプだと私は思うので、どうしてそんなに想い焦がれるのか私はわからない。

セックスがうまいからか!?

強引で、俺様的な男の人って、恋愛している時は麻薬みたいに夢中になれるけれど、よくよく考えると、筋が通っていないし、その時々の相手の女性に対して調子のいいことを言い、それを男らしさとか豪快さとか勘違いしているだけだと思う。

このゴンちゃんに関しても、「俺についてこい」「絶対幸せにしたる」とか言っておきながら、ちゃっかり風子の他に愛人を作って、その愛人に対しては、「風子は弱い人間だから、別れを切り出せへん。でも、俺はお前と一生離れへん。」とか言ってる。

ほんで、時がたって、再婚した後、風子と再会した時も、あっさり誘いに乗って(求める風子も風子だけど。やりたかっただけか。)ホテルに行った挙句、「これはもともとくっついていた同士なんだから、浮気じゃない」とか言い腐り、またいつでもええよ、とか風子と笑いあってる。

ゴンちゃんをとりまくアホ女の恋愛物語、みたいにしたほうが面白かったんとちゃいますか!?

そしてまた「??」、だったのが、一編だけ、ゴンちゃんと関係ない、風子の再婚相手(河野氏)の元奥さんの物語が載っていたんだけど、その元奥さんは、河野氏と離婚後自殺してしまったという設定。

そして、その離婚の原因が明らかになるんだけど、なんと、レズビアンで相手が死んでしまったのを嘆き悲しんで、後追い自殺してしまったそうな。

それはそれでいいんだけど、それを明らかにしないまま死んじゃってるから、河野氏は自分のせいじゃないかと気にして苦しんでいるわけ。

ちゃんと遺書でも書いて死んでよ~。残された人たちが気の毒だよ~。

で、最後はゴンちゃん危篤の知らせを受け、アメリカ在住かなんかの風子が、ゴンちゃんの娘(血は繋がってない)を車で必死に空港まで送っていっている、という話。

・・・とまあ、つっこみどころ満載の一冊だった。

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失われた町

失われた町 Book 失われた町

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
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なぜか、街の住民がきれいさっぱり消えてしまうという出来事が起きてしまう、異次元の世界のお話。

それにまつわる人々が、汚染に苦しんだり、消えた肉親や最愛の者に想いをはせ、次の消滅を食い止めようと躍起になったり、街の消滅に関わる自分の人生を精一杯生きている様子を描いている。

SFのような話で、いちいちいろんな設定を飲み込んでいかなければならないし、章によっていろんな登場人物が出てきて、そのかかわりや時間軸も頭に入れなければならず、何度も読み返したりしてちょっと大変だった。

真ん中くらいに差し掛かった時、ものすごく物語に引き込まれていることに気づいて、たまらなくなったが、最後は作者が作り出した設定によってうまくまとめられた(というか納得させられた)感じになり、あっけなかった。

ちょっと漫画のファンタジーっぽくなってしまったのが残念。

でも、この作者の文の調子や設定はかなり独特なもので、すごく面白いと感じた。

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カフーを待ちわびて

カフーを待ちわびて Book カフーを待ちわびて

著者:原田 マハ
販売元:宝島社
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第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作。

沖縄県の離れ島でひとり暮らす明青の元に、「お嫁さんにしてほしい」という謎の手紙が届けられ、その後本当に「幸」という名の女性がやってくる。

不思議な話に、現実感がないものの、幸は明青のうちで一緒に暮らすようになり、その島での生活に溶け込んでいく。

「ユタ」のおばあや、リゾート開発の話、明青を捨てて島を出て行った母親の話を絡めながら、二人が惹かれあっていく様子が描かれているラブストーリー。

あんまり、全編を通したラブストーリーって好きではないのだけど、この物語は、あまりくさいストーリー展開もなく、すっきり読み進めることができた。

話としては、ちょっとよくできすぎたありそうな小説だなあっていう気もしたけれど、そんなに嫌な感じはしない。

ただ、最後のハッピーエンドまで描ききって欲しかったなというのが正直なところだし、最後におばあが死んでしまったり、リゾート開発のための立ち退きを受け入れてしまう所もあっけなくて、せっかくの読み進めて来た分の期待とか気持ちが不完全燃焼になってしまった気もする。

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夫の彼女

夫の彼女 (幻冬舎文庫) Book 夫の彼女 (幻冬舎文庫)

著者:藤堂 志津子
販売元:幻冬舎
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タイトルからして、夫の不倫相手とのどろどろとした話しかと思いきや、急に夫に離婚を切り出され、それも理由が夫自身のバイセクシャルという性癖、という思っても見なかった現実に葛藤する主人公の話。

普通なら、バイセクシャルというだけで、もう諦めて、離婚を同意してしまいそうだけど、(幸い子供はいないし)それでも夫のことが好きだという気持ちがなかなか捨てきれず、別居してもぐずぐずとしている主人公がいじらしい。

理屈ではいくらでも「離婚すべきだ」といえるけど、そうしきれない、当の本人の人間の弱さとか素直さ、迷いが伝わってきた。

でも最終的にわかったことは、夫はバイセクシャルであるという理由で離婚を切り出したのではなく、本当は別に女性の愛人がいて、その三角関係に終止符を打つために離婚を言い出したということ。

最後になって初めて、タイトルどおりの「夫の彼女」が現れたのだけど、インパクトは弱かったし、結局だからなんなのよ~というラストだった。

ずるい夫は、自分から離婚を切り出したものの、愛人と妻との三角関係のぐだぐだした不安定さがまんざら嫌いではなく、むしろその状態の方が自分は安定していると気づき、当の主人公でさえ、まだ夫に未練があり、はっきりしない状態でしばらくいてもかまわない、という結末。

それでもこの物語を読み終わって不快にならなかったのは、ただただ作者の物語の書き方がうまいということなんだろうか。とにかく、すらすら読み進めることができて、おもしろい、と思った。

別に読んだからって元気になるわけでもなく、どちらかというと何も残らないのだが、それでも読み終わってすっきりするような、面白い一冊だった。

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しょっぱいドライブ

しょっぱいドライブ Book しょっぱいドライブ

著者:大道 珠貴
販売元:文藝春秋
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①しょっぱいドライブ

②富士額

③タンポポと流星

はっきり言って、全編不快な物語だった。

特に共通して思うことがいくつかあるのだが、敢えて挙げると、セックスの描写が不快だし、人をバカにしている。

なんだかむかむかする。

病気の症状みたいなのをバカにした感じとか、容姿についての表現とか、なんだか、人に対する愛が感じられないし、「で、なんなの!?」とつっこみたくなる。

芥川賞受賞作だというので期待していた「しょっぱいドライブ」も、おおまかにいうと父親ほど年の離れた男性をパトロンにしようか、という話で、その中で描かれるセックスの話とか、人生にやる気のなさ過ぎる主人公の素直すぎる傲慢(これは3編に共通していると今気づいた)さとか、気分悪い。

久しぶりに、一冊読みきって気分が悪くなった。

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となり町戦争

となり町戦争 Book となり町戦争

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
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第17回小説すばる新人賞受賞作。

異次元の街のお話。

隣町との戦争が及ぼす主人公の日々の変化など。

当たり前のように前提として存在する、「戦争」とそれに協力することが不可避である、国家との関係(!?)を不思議な感覚で読み進めていった。

調査員として、公務員である女性との夫婦としての共同生活を強要され、それを受け入れなければならない、そして肉体関係までもその中に組み込まれているということの不条理さえも当たり前と感じて進んでいくこの物語に変な感覚を感じた。

そして目に見えない戦争と戦い、協力していく中で、直接誰かや何かに傷つけられるのではなく、本当に周りが恐怖という感覚を通してを自分に向かってくる、という状態が続いて、いつの間にか回りの人々が傷ついたり、死んでしまったりしていく。

本当に怖い。

でも、そこが面白い。

不思議な物語だった。

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強運の持ち主

強運の持ち主 Book 強運の持ち主

著者:瀬尾 まいこ
販売元:文芸春秋
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主人公はちょっといんちき(!?)の匂いのする占い師。

もちろん、本格的な占いの知識はあるんだけど、占いに来た客の心理をつくうまい話術をうまく駆使して、毎日いろんな人の相手をしてる。

一緒に住んでいる恋人は、もともと占いに訪れた女性に付き添いとして一緒に来た彼氏で、その運の良さを見込んで、ありとあらゆる手を尽くして手に入れた「強運の持ち主」。

その彼とのゆるゆるな毎日も描きつつ、占いに訪れるお客さんやアシスタントとの日々を淡々とつづる物語。

・・・瀬尾まいこの著作を読んでいると、ちょっとした幸せって、すぐ近くにあったりするんだよ、と何気なく励まされているような気分になる。

欲しいものに対して、きちっとした目標を掲げて、とにかく苦労して努力して勝ち取ることが素晴らしい、という考え方もあるだろうけど、もっと肩の力を抜いてみなよ、無理しなくても、ちょっと視点を変えるだけで、手に入る安らぎってきっと誰にもあるんだよ、っていうように。

運がいいとか相性がいいとか、そういうことより、生の人間の温かみや、フィーリングの方がずっと大切であったかい。別に思いっきり訴えられたわけではないけれど、そんな風に素直に思わせてくれるあったかい物語だった。

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デッドエンドの思い出

デッドエンドの思い出 Book デッドエンドの思い出

著者:よしもと ばなな
販売元:文藝春秋
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2007年夏現在、私の中で一番好きな本。

よしもとばななのことを語れるほど詳しくはないけれど、

それなりに彼女の著書は読んできていて、

ここ最近の作品は、宗教的な色が濃かったり、

人と人との関係が、結構自分勝手に(と私は捉えた)「感覚的」な

ところで無理やり納得させようとしている所が見えて

あまり好きではないな、と感じることが多かったのだけど、

この短編集は、そういう「匂い」がほとんどなくって、

純粋に、悲しいとか嬉しいとか素直な感情がすっと私の中に入ってきて、

ものすごく好きだと思えるような作品ばかりが入っている。

今すぐに一編一編語るのは自信がないので、今日はここまで。

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お月さん

お月さん Book お月さん

著者:桐江 キミコ
販売元:小学館
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短編集。

一番最初の「お月さん」が一番すっきりして好き。

他は、あんまり・・・というか、なんだかいろんな種類の物語が集まっているだけで、

読みにくかった。

一編一編違うので、ちょっと好みがあるというか、飽きたりしてしまった。

「お月さん」は、でかくて不思議な「桜子さん」と主人公のちょっとした

かかわりのお話。

浮いている桜子さんが、がばがば食べたりわが道を行っている姿が

なんだかほほえましいんだけど、結局上司との不倫が原因かなんかで

あっけなく会社を辞めてしまう。

ちょっとした出来事なんだけど、その中で描かれている桜子さんの姿が

なんだか素直でかわいく感じられて、好きだった。

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窓の灯

窓の灯 Book 窓の灯

著者:青山 七恵
販売元:河出書房新社
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「ひとり日和」で2007年第136回芥川賞受賞を受賞した、青山 七恵のデビュー作であり、

2005年第42回文藝賞受賞作。

ミカド姉さんの店を手伝いながらその日その日をなんとなく生きているまりも。

ミカド姉さんと「先生」の関係を目の当たりにし、不安定になっていくごとに、他人の生活を覗くことにはまっていく。

そんなに深くなくて、さらっとした物語なんだけど、ちょっと読みにくいと感じたのはなんでだろう。

まりもはミカド姉さんのことを愛してたのか!?だからあんなに嫉妬するみたいに不安定になっていったのか!?

描写が浅くてよくわからないところもあったし、覗く対象が定まってないし、行動自体も印象が薄くて物足りなかった。

だけど、全体を通した薄いカーテンのようなぼんやりとした空気がすごく心に残った。

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夜のピクニック

夜のピクニック Book 夜のピクニック

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
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高校最後に、真夜中を歩き通す「夜のピクニック」というイベント中、これまでの想いを伝えよう、とする少女の話なのだが、その人間関係(友人関係、恋愛関係)などがすごく濃くて、びっくりした。

いまどきの高校生って、もっとなんていうかいい加減で、本当の気持ちはごまかしてばかりのよわっちい幼いイメージだったから。

「血」の関係。友情、恋心、どうしようもない現実と素直すぎる気持ちと。

相手をどうにかしたいけど、できない。

それぞれの思い。

いっぱいいっぱい考えて悩んで、それでいて一生懸命生きている若者の心を描いていて、とても引き込まれた。

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幸福な食卓

幸福な食卓 Book 幸福な食卓

著者:瀬尾 まいこ
販売元:講談社
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映画化もされた作品。

なんだかちぐはぐな家族の中にいるのに、それが日常になっている佐和子。

ちょっとずつ、ちょっとずつ心のひずみが明らかになっていくんだけど、

そんな毎日の中、ある出来事が起こってとうとう壊れてしまった佐和子の前に、

だめになっていたと思っていた家族の絆のようなものが改めて浮き彫りになってくる。

淡々と優しい文の調子で、多くは語っていないので、はじめは物足りなく感じるのだけれど、かえってその全体の雰囲気が最後の方の衝撃(!?)を増長させるような気がして、切なくなった。

どんなことがあっても、人って優しい心までは壊れないんだよね、って思った。

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ありふれた風景画

ありふれた風景画 Book ありふれた風景画

著者:あさの あつこ
販売元:文藝春秋
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「バッテリー」で有名な著者の本を初めて読んだ。

文の調子がすごく読みやすくて、ぐいぐい引き込まれたのだけど、この作品はあまり好きにはなれなかった。

やまだないと氏のイラストも好きなんだけど、若者(学生)向けの感じがした。

多感な女子高生の心の動きとかの描写は好きだったんだけど、

読み終わってみると、

「それで!?」

っというようなストーリーだった。

でも、この人の本に人気があるのがわかるような気がした。

他の作品に、期待。

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赤い靴

赤い長靴 Book 赤い長靴

著者:江國 香織
販売元:文藝春秋
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主人公は子供のいない主婦。

旦那とは話が「かみ合わない」。

旦那と一緒に過ごしているその時よりも、旦那がいない時に旦那のことを想う時にこそその存在に幸福を感じている。

こういう夫婦って、現代に多いのかもしれないと思った。

社会の中の枠組みの安定した位置を感じる時に、自分の存在意義を感じている。

夫自体を愛しているのではなく、「夫」という存在を愛してるんだ、きっと。

すごく寂しい夫婦。

そして、その問題にうすうす気づいていながらも、それを解決しようとしない主人公。

変わろうともしない、夫。

(夫の家族も似たようなもので、その問題自体に気づくことができない。)

人間って、寂しいね。

夫婦であっても、所詮別々の人間でしかないのだな、と思った。

私は嫌だな、きっとぶちまけちゃうな。

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間宮兄弟

間宮兄弟 Book 間宮兄弟

著者:江國 香織
販売元:小学館
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ああ、世の中にはちょろちょろいるんだろうなあ、というような冴えない独身男兄弟の話。

人間的にはきっと「良心的」で、親思いで、素敵なんだろうけど、きっと人として、恋愛対象としてみる時には決して魅力的とは言いがたい、でもそつのない人生を送っているのであろう間宮兄弟。

二人に女性が絡んでちょっとうまくいくんじゃないかと思われるけどやっぱり微妙な所で、そんな二人を本気で「魅力的だ」と思ってくれるところまでは至らない。

でも淡々とした二人の毎日の中にも、ちょっとした事件というか甘い香りのする出来事が起こるのは面白かった。

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東京タワー

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ Book 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

著者:リリー・フランキー
販売元:扶桑社
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「泣ける」と評判だったけど、私は泣けるどころか、結構がっかりしてしまった一冊。

確かに、ボクのオカンに対する深い愛情というか、恋しい気持ちはすごく伝わってくるんだけど、実際にやっていることは、大学に入ってもふらふらしていたり、まともに勉強しない、というようなばりばりモラトリアム時代を謳歌しているような腹立たしい(別にモラトリアムが悪いとは思ってないし、自分もある意味親に甘えて好き勝手なことをしていた時代があったわけだけど)ことを含んでいたりするので、純粋に、感動する物語としては受け入れられなかった。

私がヘンに潔癖症なのか!?

でも、思うんだ。

本当にお母さんのことを思って、恥じない生き方をしたいと思ったら、綱渡りのようなことはできないよね。

特に、お金の面で恥ずかしいこととかさ。

そういう意味で、リリーフランキーという人の一番純粋な面を押し出した一冊ではあるけど、それに感動したりはできなかった。

映画もドラマも舞台も見ていないので、なんとも言えないけど、とりあえず、書籍に関しては、ふ~ん、という感想。

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海 Book

著者:小川 洋子
販売元:新潮社
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短編集。7編。

それぞれの色が違って、統一感はない。

「博士の~」前後をはさんだものらしいから、ということもあるんだと思う。

一番気に入ったのは、最後の「ガイド」。

ガイドの母を持つ少年が、母の受け持つツアーで知り合った老人と過ごした一日を中心としたお話。

素直で一生懸命の少年と老人の心が通い合う様が印象に残った。

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ドライブイン蒲生

ドライブイン蒲生 Book ドライブイン蒲生

著者:伊藤 たかみ
販売元:河出書房新社
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この作者の著者の共通点として、誰かとの関係の中で昔のことを思い出す、というストーリー形式を見た。

どの物語も、そうやって過去のことをいろいろ思い出しているだけ、といってしまえばそれまでなんだけれど、現在の自分と過去の出来事をいろいろ結び付けて考えているのが決して後ろ向きなんかじゃなくって返って現在の主人公の存在を浮き立たせているような気がして結構夢中になって読んでしまった。

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となりの姉妹

となりの姉妹 Book となりの姉妹

著者:長野 まゆみ
販売元:講談社
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なんでこのタイトルなの!?

という感じで、かなりいまいちな印象。

ぐだぐだしていて、よくわからなくなっちゃった。

会話が会話として書かれていないし、「そうぢゃない」の「ぢゃ」の表記が鬱陶しくて不快だった。

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桜ハウス

桜ハウス Book 桜ハウス

著者:藤堂 志津子
販売元:集英社
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「桜ハウス」に下宿する女性たちの物語。

それぞれがそれぞれに人生を生きている様子が自然体で描かれていてほほえましい。

気持ちのいい生き方だと思ったし、読んでいて気持ちよかった。

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ざらざら

ざらざら Book ざらざら

著者:川上 弘美
販売元:マガジンハウス
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やさしい短編集。

この人の作品は、あっちこっちどっかいっちゃってわけがわかんなくなることが多いんだけど、この本に載っている作品は、普通の世界の中で、自然体の女の人の物語がたくさんあって、肩に力が入っていないし、気持ちよく読めた。

私もこんな風に、自然に生きていきたい。

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憂鬱なハスビーン

憂鬱なハスビーン Book 憂鬱なハスビーン

著者:朝比奈 あすか
販売元:講談社
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エリートだったはずなのに、ちょっと足を踏み外してしまった女性の、ひねくれた日々をつづった物語。

気持ちはわからなくもないけど、もう一息、這い上がる時の勢いとか、開き直りを描いて欲しかった。

中途半端な印象。

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ひとかげ

ひとかげ Book ひとかげ

著者:よしもと ばなな
販売元:幻冬舎
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「とかげ」は随分前に読んだんだけど、あまり印象に残っていなくて、今回借り直して再読した。

その後、「ひとかげ」を読む。

どちらがいいかなんてなんとも言えない。

その時々の精一杯の「よしもとばなな」が書いたものだから。

でも、心にはすごく響いた。

生きることの力強さと、残酷さと。

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